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ギア

データドリブン経営

経営課題を正しく把握し的確な意思決定を行うには、デジタル技術や人工知能を活用し、データ主導で意思決定をする「データドリブン経営」実現が近道です。そのデータドリブン経営成功のためのカギは、適切なデータ収集とKPIの定義と見える化、継続的なモニタリングによる関係者へのファクトと課題の合意と取組み施策のすり合わせにあります。

さらに一歩進んだデータドリブンでは、結果指標のみでなく、AI、アナリティクスなどの先進技術を活用した予測にもとづく先読み経営に移行します。

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 「データドリブン経営」とは、デジタル技術や人工知能などの技術を活用し、ビジネスのあらゆる局面においてデータ主導での意思決定をする経営を指します。

 特に中小企業の従来の経営では勘と経験と度胸(KKD)による意思決定が主体であるのに対し、データドリブン経営では収集・蓄積したデータにもとづく指標(KPI)による経営判断を行うのが特徴です。前者では経営者のアニマルスピリッツに依拠するため意思決定の再現性が乏しく、経営者の負担が大きいのが課題です。後者では意思決定の標準化が可能で、自律型組織を実現でき経営者は業務執行・管理から本来の経営活動に専念することが可能です。

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図1 従来の経営とデータドリブン経営

DXとデータドリブン経営の違い

 では昨今よく聞くDX(デジタルトランスフォーメーション)との違いはなんでしょうか?経済産業省2018年『DXレポート』によるとDXとは「データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の有意を確立すること」と定義されています。

 データやデジタル技術を活用するという点においてはデータドリブン経営もDXも同じですが、DXは業務プロセス、組織など広い範囲での変革を指しているのに対し、データドリブン経営は経営管理にフォーカスを置いたものとなります。

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図2 DXとデータドリブン経営の違い

なぜデータドリブン経営か、その効果とは

 なぜデータドリブン経営を推進する必要があるのでしょうか。それはなぜ従来型の経営が勘と経験と度胸によって行われているか、の問いから始める必要があります。

 従来型経営では現場の業務を定量的に計測することが難しかったり計測していても共有するのに手間ヒマがかかっていました。デジタル技術が進歩した今、営業や生産活動、採用などあらゆる企業活動がデジタル技術やサービスを利用して行うことが普及し始めました。そのことによりデータの共有が容易になり、今まで経営者の勘と経験に頼っていた意思決定を定量的に実行できるようになりました。そして意思決定の標準化により、経営者は業務執行・管理から本来の経営活動に専念することができるようになります。

 また現場は日々運用業務を行っていますが、基本的には現行の業務で手いっぱいで、業務改善に取り組むインセンティブがないケースが多いです。むしろ現行の業務を変えないほうがスムーズに業務に取り組めることのほうが一般的であります。このような保守的な環境に対しては業務指標(KPI)を設定し、その指標を定期的にモニタリングすると同時に評価制度を見直すことで、メンバーに対して業務改善のインセンティブを付与することが極めて有効なのです。

​ このようにデータドリブン経営の推進は、経営層とメンバーへ大きな経済的価値をもたらすのです。

データドリブン経営のステップ

 データドリブン経営のメリットがわかったところで、どのように進めればデータドリブン経営の導入、定着が成功するのでしょうか。データドリブン経営には大きく分けてLv.1〜4のステップに分かれていると考えるべきです。

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図3 データドリブン経営のステップ

 Lv.1では「データの見える化」がカギになります。目的を絞り、ベキ論は割り切り今データが取れる範囲での見える化、特定の費用・KPIを見える化する基盤をクイックに構築することが重要です。

 Lv.2ではLv.1で収集した「ファクトにもとづく関係者の合意形成」を目指します。実際の数値に基づく課題の洗い出し、及び施策を関係者にて合意する、段階的に重点取り組み施策を実施していくPDCAサイクルが回り始めれば達成です。

 Lv.2ではLv.1をタテヨコに展開し、「データ標準化及びデータ精度/範囲の向上」させます。データ標準化とデータ精度や範囲を向上させ、全体の見える化や部門を横断した課題の特定や課題解決のPDCAサイクルを実現していきます。

 データドリブン経営の最終形態であるLv.4では「先読み経営の実現」に向けた取り組みを行います。それにはAIやアナリティクスなどの先進Tech.を活用し、結果指標だけでなく先行指標の動向に基づいた先読み経営を定着させることが必要です。

アジャイルによるクイックwinによる実現が成功のカギ

 ここまでお読みいただいてデータドリブン経営を実現したいとは思ったものの、高いハードルがあるとお感じになった方も多いのではないでしょうか。データドリブン経営の根幹は各種指標の定義とそれらをモニタリングするための仕組み作りにあります。具体的には経営指標(KGI)とそれに紐づくKPIの構造を特定し、それらを定点モニタリングしていきます。

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図4 データドリブン経営の進め方

 KPIの構造特定には図5のようなKPIツリーの作成が有効です。現場と経営層ですり合わせつつクリアにしていく必要があり、時間を要する作業です。この作業はデータドリブン経営において肝となる部分ですが、ここに時間をかけすぎると成果がなかなかあがらないプロジェクトとみなされ、組織内の協力者が離れていく原因となります。

 そこで特に重要なKGIから先にKPIの特定作業を行い、モニタリングの仕組みはアジャイルに構築していくほうが好ましいです。小さな成功を積み重ねるクイックwinによる実現がデータドリブン経営成功のカギと言えます。

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図5 例)営業のKPIツリー

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