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ビジネス会議

IPビジネスの実務について
解説します

IPビジネスのステークホルダー

IPコラボの実務

アンカー 1

​ IPコラボの実施には話題性や新規顧客獲得といったメリットがあります。そのため、IPコラボはソーシャルゲーム業界から文房具や衣料品等のメーカーまで幅広い企業に取り入れられています。このようなライセンスビジネスは、ライセンサー・ライセンシーと呼ばれる企業間で行われます。両社の間に仲介会社であるエージェンシーが入ることもあります。

IPビジネスのステークホルダー

  • ライセンサー

IPやブランド(商標)を所有する法人や団体、個人を指します。ライセンシーであるメーカー等の企業と契約しIP使用権を許諾することで、ロイヤリティとマーケティング機会を獲得することができます。

  • ライセンシー

ライセンサーとIP使用権許諾契約を結ぶことで、IPの商品化や販売を行うメーカー、小売業者、サービス業者、代理店等を指します。

  • エージェンシー

ライセンサーと契約した場合は、IPの営業代行や特定のIPのライセンス管理などを行います。ライセンシーと契約した場合は、ライセンサーとライセンシーの間に入り、契約から販売までの業務をサポートします。

IPコラボの実務

 コラボ方法としては、(1)ライセンシーが企画しライセンサーからIP使用権を許諾され商品化へと繋げる場合、(2)ライセンサーがメーカー等の企業へライセンス営業を行い商品化へと繋げる場合の2種類が挙げられますが、ライセンシーから問合せし、商品化に至るケースが一般的です。下記に示した図は、(1)のライセンシーからコラボ企画が検討される場合です。ライセンシー・エージェンシー・ライセンサーそれぞれの業務プロセスについて、フローチャートの番号順に説明します。

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①企画

ライセンシーであるメーカー等の企業は、自社製品・サービスの認知拡大や価値向上のためIPを持つライセンサー企業とのコラボを検討します。IPを選定する際、話題性やIPの支持層を知ることはもちろん、自社製品やサービスと共通点が多いIPであるかという点も意識する必要があります。親和性の高いIPは、IPを通じて商品の本質的な価値を伝えられるからです。このように、ライセンサー企業の情報収集やIPコラボによる売上予測を行うことが、より効果的なコラボの実現に繋がります。

②エージェント契約

エージェンシーとは、ライセンシー企業に代わりライセンサー企業との交渉・アサイン等を行う企業を指します。また、エージェンシーが版権を持っている場合、エージェンシー専売IP場合はエージェンシーとの取引が前提になります。エージェンシーと契約するメリットは、(1)IPコラボに関する実績があること、(2)効果的なコラボを実現するためのノウハウ(コラボ先の選び方どの製品とコラボさせるのが効果的か、デザインの決め方等)があること、(3)ライセンスにかかる各種契約に関する知識があること、(4)効果的なマーケティング手法に関する知識があることです。ライセンシー側の要望や依頼範囲に合わせてサポートすることができます。

③ヒヤリング

エージェント契約がある場合、エージェンシーはライセンシーに対してヒヤリングを行います。その内容は、使用するIPが定まっていない場合はIP候補の選定、契約条件の起案・企画・制作、実施期間の調整、企画デザインの確認です。ヒヤリング後はライセンサー企業に提案を行い、契約交渉へと進みます。

④ライセンシー企業がエージェンシーと契約しない場合

ライセンスビジネスに詳しい人が社内にいる場合、または企業として既にIPコラボの実績や各種契約に関する知識がある場合はエージェンシーと契約せず、に記載した企画の詳細決定から契約条件の起案、ライセンサー企業との交渉業務を自社で行ないます。

⑤許諾

ライセンサーは、ライセンシーもしくはエージェンシーから受け取った企画や契約条件を自社内で審議します。ライセンサーは自社IPとの親和性、ライセンシー企業のネームバリューや商品化製品の消費者からのイメージ、競合他社とコラボしていないかといった観点からコラボ可否を判断します。

⑥契約

その後、IP使用権を許諾する場合は契約に移ります。契約内容としては、1. 契約の目的、2. ライセンスを許諾する商品の範囲、販売可能地域、対象期間、3. ライセンスする権利・知財の種類、許諾形態、4. サブライセンスの可否、5. ライセンス料や支払い方法、6. 不返還条項などです。

⑦契約

ライセンサーからIP使用権を許諾されると、ライセンシーは商品化権を取得します。その後ライセンサーと各種契約を行った上で⑧の商品化へと移ります。この時、ライセンシーからライセンサーへ最初のロイヤリティが支払われます。

⑨商品化サポート

ライセンシーが商品の開発・製造を行う際、エージェンシーはライセンサー側の意向伝達、契約に基づいた製品になっているかの監修といったサポートを行います。この時、ライセンサーは品質管理業務の中でデザインチェック等を同時に進めていきます。

⑪販売

商品が完成すると、ライセンシーは広告やセールスプロモーションを駆使して消費者に販売します。その際、エージェンシーは販売サポートを、ライセンサーは売上状況・販売方法の確認といった進行管理を行います。

⑭販売数量に基づくロイヤリティ支払い

ロイヤリティの支払いが販売数量に基づく場合、販売数量管理業務が発生します。その中で、ライセンシーやエージェンシーはライセンサーに各種ロイヤリティを支払うため、ライセンサーはロイヤリティ管理を行います。

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